2012年11月1日木曜日

母なる想い


昨日、ある方のお母様から電話がありました。

一年半前に辞めてしまった以前の、私の占いのお客様でね、本当に久しぶりのお電話で、一瞬ためらったのですが、受話ボタンを押して「こんにちは」と言いました。

 ある方とは、奥様とお子さんを残して失踪されてしまった方のことでね、ご本人もお母様も、何度か鑑定させていただいたのですが、ある日突然失踪されてしまたのです。


 仕事場で何かあったのか、「先生、私はうつ病になってしまいました」とのメールをいただいたことがありました。
 ところがうつ病だけではなかった。失踪してからも、二度ほどメールをいただいたので、とても言葉に気を付けながら、「ご家族に連絡して差し上げてください」とご返信したのですが、その言葉をまともに受け取っていただくことが出来ず、また音信不通になってしまいました。


 失踪してから、もう三年にもなるでしょうか?

 ご本人は、私よりも10歳も年長の方ですから、お母様といえばかなりのお年になります。

 そのお母様が、私にあった電話の内容というのはこうでした。

「あの、私は最近、息子に何度連絡をしてもつながらないので、もう番号を変えてしまったと思っていたんですけど、メールを送ったら『あちらに届きました』というメッセージが出るんですよ。それでこちらからは届いているかと思って、毎日メールを送っているんですけど、これって息子に届いているんでしょうか?」


 私は、このお母様が不憫でなりませんでした。

 もちろん、失踪されたご本人にも、出てこれない事情というものがおありでしょう。

 ただ、私は、一人の人間として、このお母様の息子さんを想う一途な気持ちを、黙って見ていられませんでした。
 以前のアドレスを引っ張り出して、ご本人にメールをしてみたんですけれど、デーモンメールで戻ってきてしまう。それをまたお母様に電話してお伝えすると、「Eメールじゃなく、番号で送れるやつです」っておっしゃるから、「わかりました」って、またショートメールをご本人に送りました。

 本当は、ショートメールって好きじゃないんです。要件のみならず、意思を伝えるには、たった数十文字は短すぎますから。それでも、三通に振り分けて、送ってみました。もしかしたら、通じないかもしれない。もしかしたら、他の方の番号でご迷惑になってしまったかも知れない。でも、お母様のたんたんとした無心に息子さんのことを思う気持ちに、人として動かずにはいられなかったのです。


夢千代
                                 画像提供:写真素材館

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