先日5日亡くなられた、歌舞伎役者の中村勘三郎さんについて一言。
歌舞伎という世界は、遠いようで近く、近いようで遠いというのが、僕の中の正直な認識でありました。
どこか、お高くとまっているように思えながら、そういった概念を、覚られたかのように、あらゆるジャンルから、ポンと全然別のものを、目の前に出されたのが勘三郎さんでした。
それまでは、歌舞伎に興味の無い人が、勘三郎さんに興味を持って、歌舞伎座に足を運ぶようになった方、結構いらっしゃるはずです。
市川猿之助さんのスーパー歌舞伎もそうですが、現代は、かつてのものをそのままやっていたのでは、人は集まりません。
それにプライドを持って、そこから動けないようでは、いけないと私は想うのです。
エンターティナーとは、現代に生きる人々が、楽しむためのもの。
それに対して、過去より綿々と続いているいわばクラシックの世界が、その品位を失わずにどのように、今の人の心にその面白さを見せ付けるかの見本のような存在でしたね。
歌舞伎と言えば、6代目尾上菊五郎さんの辞世の句「まだ足りぬ 踊り踊りて あの世まで」が好きなんですが、自分の生きる道をひと筋に生きる姿、愛しぬく姿というものは、美しいものですね。
一人の存在が失われても、伝統はこれからも守られていくことでしょう。
寺千代
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