2014年3月11日火曜日

3/10の投稿

3/10
 
 
あの日とおなじ海を見ているはずなのに、あなたと見る今日の海は違っている。

 気がつけば、いつも微笑っている私がいる。

 硝子越しに目の前を通るおおきな船が、いつのまにかとても遠くへ、過ぎてゆくように、
つい昨日のことのような心の痛みも、忘れていることにふと気がつく。

いつかみたあの映画も、繰り返し読んでボロっちくなってしまったこの本も、
いまだって変わらずに大好きだけれど、
あんなに奪われることを怖れてあがいていた頃は、
ひとりぼっちで、とても窮屈で、太陽がきらいだった。

あのころとおなじまちのなかで暮らしながら、私は大人になったかなって、想う。

 何度も困らせたあなたの顔に刻まれた、目のよこにあるくしゃっとしたシワの数は、
わたしが犯した罪の記し。

そのシワの奥にある瞳は、何度でも私をゆるし、何度でも私を救ってきた。
「いつかきっと、あなたが自分の力で生きていけますように」

優しい瞳が、ほほ笑む。

私も強い人になろう。
夢千代

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